テーマ 124 偉人の言葉から学ぶ管理職者の心構え
■「重職心得箇条」から学ぶ管理職者の心得
「重職心得箇条」は、幕府直轄の大学であった
昌平黌(しょうへいこう)の学長であった
佐藤一斎(1772〜1859)が、
美濃岩村藩の重役たちのために著した書です。
聖徳太子の十七条憲法に倣って、17条で構成されています。
佐藤一斎は明治維新の立役者たちを育てた
偉大な教育者とも言われます。
「重職心得箇条」はネットで検索しますと
調べることができますので、
今回は、実務的にどのような内容なのか
私なりに項目を下記にまとめてみました。
1.目標、行動計画をきちんと立てる。常に考えて考えて考え抜く。
2.部下の意欲、やる気をつくりだす。
3.会社の基本精神を大切にし、時代に対応していく。
4.仕事を創造し、新しい現実をつくる。
5.PDCAのサイクルを回す。現状をよく知る。
トライアンドエラーを繰り返す。
6.大局観をもつ。木を見て森を見ずにならない。
7.部下に説明し、納得させること。
8.自分の仕事をコントロールする。優先順位をつける。役割分担を行う。
9.人事評価を公平に厳格に行う。
10.中長期的視点で、優先順位を考えて、戦略的に計画を立てる。
11.人を受け入れる心の広さが重要。
12.自分の意見を持つことは必要だが執着しないこと。虚心坦懐が重要。
13.マンネリズムは、組織をだめにする。
信念を持って、バランスを取りながら現状を打破していくこと。
14.生産性や効率を考えて仕事をすること。無駄を省くこと。
15.品行方正な部署をつくる。
16.必要な情報はオープンにする。秘密主義にならない。
17.日々新たな気持ちで取り組むこと。
上記の17条には下記の3つのことが書かれているのだと思います。
仕事に対する取り組み姿勢
仕事の計画の立て方、進め方
部下の指導の仕方、育成の仕方
最近は、
VUCA(Volatility:変動性、Uncertainty:不確実性、
Complexity:複雑性、Ambiguity:曖昧性)
の時代といわれ、それに対応するために
いろいろな施策が論じられていますが、
その内容と、「重職心得箇条」の内容は、
基本的には同じものかとも思います。
佐藤一斎が生きた時代も幕末の時期で
安定しない時代とも思われますが、
上述した17項目は、いつの時代も通用する
管理職者としての大事な心構えといえます。
■「士規七則(しきひちそく)」から学ぶ管理職者の心得
吉田松蔭が主宰していました松下村塾の綱領となっていたものに
「士規七則(しきひちそく)」というものがあります。
「士規七則(しきひちそく)」の中にそれをまとめたものとして、
下記のような約為三端があります。
士規七則 約為三端
立志以為 萬事之源
選交以輔 仁義之行
讀書以稽 聖賢之訓
士苟有得於此 亦可以為成人矣
1 志を立てることは万事の源。
2 交友を選ぶことは仁義の行。
3 良書を読み習うことは、聖賢の訓。
この3つを体得できると、人として大成することができる。
簡単にまとめてしまいますと常に目標を持って、
人を大切にし、日々勉強することが、
成長するためには重要ということになるかと思います。
■偉人の言葉でリセットする
偉人の言葉が、受け継がれて残っていくのは、
やはりそれが、実務の中で役に立つからと思います。
我々は、日々の忙しさの中で、惰性に流されたり、
目標を見失いかけたりすることもありますが、
時には、このような偉人の言葉に触れ、リセットし、
管理職者としての本来のあり方、
自分を取り戻すことも重要です。
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